日本と世界における金価格の表記の違いを知ろう

金表記

世界と日本では、金価格の表記が異なります。

本日(2020.07.22)の金価格は、1851ドルとなっています。
だいたい20万円というところでしょうか。

この値段でどのくらいの重量の金が買えるのでしょうか?

それは
1オンス(oz)の金です。

このオンスという単位のことから見ていきましょう。

金重量の単位は「トロイオンス 」


金の重量はオンスが国際基準となっています。
これは金取引では基本中の基本なので覚えてください。

オンス」は、正確には「トロイオンス(Troy Ounce)」といいます。
貴金属や宝石の原石の計量に使われる質量の単位です。

貴金属や石などを取り扱っていれば別ですが、
日常の生活でまず出会うことのない単位ですね。

呼び方は「オンス」でも「トロイオンス 」でもどちらでも大丈夫ですが、
手っ取り早い「オンス」の方が多いです。

1トロイオンス = 31.1034768グラム

です。

金取引の場合は、

1トロイオンス = 31.1035グラム

で計算することが多いですので、この数字を覚えてください。

そしてさらに略して、

1トロイオンス = 31.1グラム

と、ざっくり計算することもあります。

一般の重量のオンスと、金の重量のオンスは違う


アメリカでよく使われる重量単位にヤード・ポンド法があります。
重量の単位が「ポンド(lb)」で、

1ポンド = 454グラム

です。日本ではあまり馴染みのない重量単位ですね。
アメリカンフードのレストランに行くと、ステーキの重さをグラムではなく、1/2ポンドとかで表記していることがあります。

このポンドの下の単位に「オンス(oz)」があります。

気をつけて欲しいのは、
このヤード・ポンド法のオンスと、金重量の単位のオンス(トロイオンス )は別物だということです。

ただし、単位表記は同じ「oz」ですので、間違えないように気をつけてください。

ヤード・ポンド法の1オンス(oz)は、
1ポンドを16で割った数字です。

つまり、

1オンス = 454 / 16 = 28.35グラム

です。
金重量の1オンスは31.1035グラムですから、違いますね。

ちなみに、
トロイオンスの上の単位はトロイポンドといいますが、
トロイポンドを12で割った数字がトロイオンスになります。

1トロイポンド = 12 × 1トロイオンス = 373グラム

10進法に慣れている私たちからすると、なんか不思議な単位です。

日本ではグラムで取引

では日本の金価格を見てみましょう。

日本国内では金価格の重量基準をトロイオンスではなく、
グラムに換算して金価格を計算します。

また、国際的な金価格は米ドル建てですが、
日本の通貨は円なので、
ドルから円に為替換算をしないといけません。

つまり、重量換算と為替換算の2つを行います


計算式はこんな感じです。

諸費用というのは、金の運送料だったり保険料などが上乗せされています。
だいたい 0.5〜1.5ドル くらいだとされています。

例えば、昨日、7月21日の国際現物金価格が1842.55ドル/oz 。
ドル円が107円だとすると、

これが日本での金の取引価格になるわけです。

でも、ちょっと待ってください。
田中貴金属の今朝7月22日の金価格を見ると、

(田中貴金属のホームページより引用)

上記のような価格になっています。
6,344円とは大きく異なっていますね。

実は、田中貴金属のページの引用にも書いてあるとおり、
金の現物を売買するときは消費税がかかります

ですので、6,344円に消費税10%分を乗せ、
そこに金を買うときと売るときのスプレッドがかかって、
税込小売価格と税込買取価格ができるわけです。

スプレッド についてはこちらの記事に説明をしています。

金投資を始める前に知っておきたい!純金積立のメリットとデメリット

2020年6月30日


ここから分かるとおり、
日本で金を買うと、諸費用や為替コストが乗っかってくるので、
ロンドンで買うより日本で買う方が若干高いということですね。
でも、輸入品とはそういうもので、
私たちが普段口にしているフルーツやパンの小麦なども輸入コストがどこかしらで乗っているので、このコストは気にしなくてよいと思います。

そして、
この日本での金価格の計算は、
基本的に金現物価格でも、金先物価格でも同じです。

金のバーはグラム、金貨はトロイオンス


日本ではグラムに換算して取引するといいましたが、
実際に金をお店で売買するときはどうなっているのでしょうか?
三菱マテリアルで取り扱っている金現物の商品を見てみましょう。

三菱マテリアルのホームページより)


2つの表を見て分かるとおり、
グラムで販売している金商品と、トロイオンス で販売している金商品があります。

上のグラムで表記されているものが、「金のバー」です。

金地金のバー
(金のバーはグラム)


そして、
下のトロイオンスで表記されているものが、「金貨」すなわち「金のコイン」です。

アメリカの金貨
(コインはトロイオンス )

つまり、バーはグラム金貨はトロイオンスを基準に作られているということになります。



各国の造幣局ではオリジナルの金貨を発行していますが、
(金貨のことも今後お伝えしていきますね)

  • アメリカのイーグル金貨
  • オーストリアのウィーンハーモニー金貨
  • カナダのメープルリーフ金貨
  • オーストラリアのカンガルー金貨
  • 中国のパンダ金貨


など、国際的にメジャーな金貨がほとんどがトロイオンスです。

ただ、トロイオンスを無視した重量で作られた金貨もたくさんあります。

たとえば、
イギリスのソブリン金貨という金貨は、1ソブリンが7.98gと、
トロイオンスとはまた異なった独特の基準になっていますし、
日本の造幣局が発行する金貨は10gや20gなど、
グラム重量を基準に作っています。
日本ではことごとくトロイオンスは使わず、
すべてグラム基準で考えます。

世界の金商品を見ると、トロイオンスを基準に作られている金貨もグラム表記されているものが多いです。
トロイオンスは業界特有の重量単位ですし、
一般的にはグラムで計算する方が慣れていますからね。

私の場合でお伝えすると、
世界の金価格を見るときだけドル/トロイオンスで価格を見て、
それ以外の金商品を見るときはグラム/円に換算し価格を見るクセがついています。


まとめますと、
金の世界ではトロイオンスという貴金属固有の単位があり、

1 oz(トロイオンス) = 31.1035g

この数字だけ覚えることができれば、
あなたもりっぱな金世界の住人の一人です。