「パイレーツ・オブ・カリビアン」のような海賊モノ映画で必ず登場するお宝。
そう、あのザックザクの金貨の山ですよね〜。
私には永遠の憧れです。
![海底の財宝](https://golden-google.com/wp-content/uploads/2020/09/海底の財宝-1024x576.jpg)
あんな放り投げられるほどの金貨に埋もれることはできませんが、
金貨も実に人間を魅了してやみません。
前回は金のバー(金地金)について解説をしました。
バーとコインは金の塊だということ、
また、金価格の上昇と資産防衛に期待した投資であることに変わりはありませんが、
売買時の手数料の違いや、
投資家が投資対象として期待している価値に大きな違いがあります。
今回は、金投資の実物資産の代表格の一つである「地金型金貨」について、
金投資初心者のためにわかりやすく解説します。
1. 地金型金貨は国が品質を補償
金のバーを購入したいときは、
金価格・金品質の元締めである、ロンドンのLBMAという機関に認定された業者さんのを買ってね、とお話ししました。
つまり、作り手の多くは会社です。
しかし、金貨は異なります。
金貨は造幣局、つまり国が作っています。
日本を含め、いろんな国で金貨を作っています。
代表的な地金型金貨を作っている国を紹介すると、
- アメリカ :イーグル金貨
- イギリス :ブリタニア金貨
- カナダ :メープルリーフ 金貨
- オーストラリア:カンガルー金貨
- オーストリア :ウィーンフィルハーモニー金貨
- 南アフリカ :クルーガーランド金貨
- 中国 :パンダ金貨
などがメジャーです。
2. 金貨には「地金型」と「収集型」がある
今回は地金型金貨についての解説ですが、
まず、金貨には大きく2タイプあることを知ってください。
それが地金型金貨と収集型金貨です。
先に挙げた各国の金貨はいずれも地金型金貨と呼ばれるものです。
地金型金貨と収集型金貨の特徴の違いをかんたんにいうと、
<地金型金貨>
●金(ゴールド)の価値に対して投資することが目的
●価格は金価格と連動する
●発行枚数が多い
●毎年デザインが変わらないことが多い
<収集型金貨>
●希少性、デザイン性、グレードの高さ(状態の良さ)、ファンの多さなど、様々な要素で価格が決まる
●ものによっては1枚の金貨が何千万円、1億円を超えることがある
●国の記念イベントなどで発行されることが多く、デザインは多種多様
●発行枚数が少ない
●円形ではない変わった形のものもある
こう見ると、
地金型金貨と収集型金貨の特徴はだいぶ異なっており、
何に期待して投資をするかが全くちがうことがわかります。
金貨は基本的にはどれも金を円形に固めたものなので、
初めての方は、どれが地金型で、どれが収集型なのか、検討がつかないと思います。
これは金貨に触れていく中で覚えていく必要がありますが、
上記で挙げたメジャーな地金型金貨以外はすべて収集型金貨だと思ってもらって大丈夫です。
今回は地金型金貨についてだけを解説していきます。
3. 地金型にある表記について
では、代表的な地金型金貨である、オーストリアのウィーンフィルハーモニー金貨で見ていきましょう。
![ウィーンハーモニー金貨2](https://golden-google.com/wp-content/uploads/2020/09/スクリーンショット-2020-09-16-6.32.03.png)
![ウィーンハーモニー金貨1](https://golden-google.com/wp-content/uploads/2020/09/スクリーンショット-2020-09-16-6.35.50-e1600205782919.png)
実に芸術の都ウィーンらしい優雅なデザインですね。
金地金(インゴット)では製造した会社のロゴが彫られていましたが、
このようなデザインはありませんでしたが、
地金型金貨の特徴は、国を代表する図柄が大きく描かれていることです。
そして、発行している国名、金の品位(純度)、発行年、そして額面が書いてあります。
何を表面に書き、何を裏面に書くかなどは、国によってちがうようです。
実はこの金貨、ユーロ圏で法定通貨として使用することができます。
4. 多くの地金型金貨は日常の買い物で使える
金貨は国の造幣局が作っていますが、
造幣局の主な仕事は通貨を発行することです。
法定通貨とは、要は、私たちが普段使用している100円玉や1万円札のお金です。
つまり、金貨はお金として日常で使うことができるのです。
上のウィーンフィルハーモニー金貨は1オンス金貨ですが、
「100EURO」と書いてあるのがわかりますね。
これを額面といいますが、
ユーロ経済圏では100ユーロとして使用することができるのです。
だけど考えてみてください。
1オンス金貨を100ユーロとして、街中のスーパーやコンビニで使う人がいるでしょうか?
100ユーロは現在の日本円で12,000円ほどですが、
1オンス金貨は220,000円で、約20倍も差があります。
金貨を売って現金にした方がいいですよね。
つまり、実質的にはあまり意味のない額面ということになります。
5. 地金型金貨の大きさは基本4種類
では、地金型金貨は1枚買うのにいくらするのでしょうか?
それは金地金(バー)と同じように、金貨の大きさによって異なります。
地金型金貨は大きく4つの大きさがあります。
1オンス :31.10g
1/2オンス :15.55g
1/4オンス :7.78g
1/10オンス:3.11g
![](https://golden-google.com/wp-content/uploads/2020/09/スクリーンショット-2020-09-20-12.16.50-1024x344.png)
上の画像はカナダのメープルリーフ金貨4種類です。
まれに1/20オンスという超小型の金貨もあったりしますが、
基本はこの4種類の大きさだと覚えておけばよいでしょう。
もっとも多く取引されるのは1オンス金貨、
次に1/2オンス金貨です。
では、それぞれいくらくらいで購入できるのでしょうか?
今日9月18日の三菱マテリアルの価格で見てみましょう。
![](https://golden-google.com/wp-content/uploads/2020/09/スクリーンショット-2020-09-20-12.46.21-1024x416.png)
地金型金貨の価格は、金の重さと、その日の金価格で決まりますので、
1オンス金貨を買おうと思ったら24万円もするんですね。
正直気軽に買える価格ではないですね。
であれば、1/4オンスや、1/10オンスがまだ買いやすそうな気がします。
が、ここで覚えておかないいけないことがあります。
6. 地金型金貨の価格には「プレミアム」が上乗せされる
金地金は500g未満のインゴットはバーチャージという手数料がかかりましたが、
地金型金貨はどうでしょうか?
同日9月18日の1gあたりの金価格をみてみましょう。
![](https://golden-google.com/wp-content/uploads/2020/09/スクリーンショット-2020-09-20-12.52.28-1024x301.png)
金の店頭価格が7,278円/gとなっています。
これに1オンス金貨の31.10gをかけると、
7,278円 × 31.10 = 226,346円
となります。
でも、1オンス金貨は240,157円となっていて、
金貨の方が価格が高くなっています。
この価格の差がプレミアムと呼ばれるものです。
プレミアムとは、要は金貨を製造するときにデザインコストなどです。
前回も説明したとおり、
金地金(インゴット)はデザインがほぼ皆無に等しいですが、
金貨は美しく繊細なデザインが彫られています。
このデザイン、つまりアート料金が金貨には上乗せされているんですね。
では、4種類の金貨のそれぞれのプレミアムを計算してみると、
1オンス:(240,157 – 226,346)/ 226,346 = 6.1%
1/2オンス:(122,364 – 113,172)/ 113,172 = 8.1%
1/4オンス:(63,304 – 56,622)/ 56,622 = 11.8%
1/10オンス:(25,921 – 22,635)/ 22,635 = 14.5%
こうみると、小さい金貨ほど上乗せされているプレミアムが大きいことがわかります。
つまり金貨は小さくなるほど価格が安くなるので買い求めやすいのですが、その分、価格が割高になってしまうということです。
7. 金地金の売却は損になってしまう!?
では、持っている金を売却するときをみてみましょう。
先ほどの金1gあたりの買取価格を見てみると、7,186円となっているので、
1オンスの金を売却すると、
7,186円 × 31.10 = 223,485円
となります。
が、1オンスの金貨の買取価格をもう一度見ていると、
![地金型金貨の価格表](https://golden-google.com/wp-content/uploads/2020/09/スクリーンショット-2020-09-20-12.46.21-1024x416.png)
218,584円となっています。
つまり、金貨を売却するときは金地金より損をしていることになります。
実はこれについては私も最近知りました。
というより、金の買取のフレームワークが最近変わったのだと思います。
数年前までは、金貨を売却する際も、金貨に傷がついていなければプレミアムが上乗せされた価格で買い取ってもらえたのですが、
買取時のプレミアム上乗せが廃止されたようです。
また、傷がついてプレミアムがなくなってしまったとしても、
金地金と同等の金買取価格で買い取ってもらえたのですが、
それよりも低い価格での買取に変わってしまっていました。
つまり、地金型金貨は、販売店から人の手に渡った瞬間にプレミアムがなくなり、金地金よりも価値が下がるという状態になってしまいました。
8. 結論、地金型金貨は投資対象としていいのか?
これまでのを総括して、
地金型金貨のメリット・デメリットをまとめると、
<メリット>
金地金と比べて、小さい量で購入でき、保管もしやすい
デザインの美しさを楽しむことができる
<デメリット>
購入すると価値が途端に下がる
金額的に買いやすい小さいコインほど割高になる
私の意見としては、
金(ゴールド)の価値に投資をする対象としては、
地金型金貨は向かないと思います。
理由は上記で説明したとおり、
地金型金貨は買った直後に価値が大きく下がるからです。
数年前までは売却時にプレミアム上乗せで売れましたが、
今は投資効率がかなり悪くなってしまっています。
買った瞬間に市場価格が大きく下がるというのは新築のマンションと似ているかもしれないですね。
特に重量の小さい金貨ほど投資効率は悪化します。
ですので、もし地金型金貨を購入したいのであれば、
できれば1オンス金貨を、せめて1/2オンス金貨を購入するのがマシです。
9. 買うならどの国の地金型金貨が良いのか?
地金型金貨はいくつも種類がありますが、
無難に買うなら下記の3つがオススメです。
ウィーンハーモニー金貨(オーストリア)
メープルリーフ金貨(カナダ)
カンガルー金貨(オーストラリア)
理由は、国際的にメジャーであり、流通量が多いこと。
また、日本国内に代理店があり、スムーズに買取をしてくれるからです。
昔は南アフリカのクルーガーランド金や、イギリスのブリタニア金貨も買取の対象となっていた時期がありましたが、
今は基本この3つです。
私の経験上では、
ブランド買取店でも金貨を買い取ってくれますが、
別途買取手数料がかかったり、かからなかったり、
インゴット価格で買い取ってもらえたり、
逆に買取価格が落ちるスクラップ価格での買い取りになったりと、
お店のルールや店員さんの裁量によって、買取価格が変動したりするので、
安定して買い取ってもらえるのは、
やはり田中貴金属や三菱マテリアルの大手貴金属商や、
大手の代理店となっている貴金属商だと思います。
いかがでしたでしょうか。
私たちは何か投資商品を購入するとき、
購入時の価格ばかりが気になりますが、
投資は売却をして初めて利益が確定します。
ですので、購入前に、
売却時の出口がちゃんと用意されているか?
投資効率が良いか?悪いか?
は、投資家として必ず押さえた上で投資をするようにしましょう。
金投資としては地金型金貨はあまりオススメができないですが、
金貨のもつ太陽のような眩しい輝きとアートとしての美しさは、
何物にも替えがたい魅力があります。
投資効率は良くないものの、
金貨1枚くらいは資産としてみんなに持って欲しいなという、私個人の思いはあります。
ただ、それは地金型金貨ではなく、収集型金貨でも同様に感じることができますので、
また別の機会に収集型金貨についても解説していきますね。