純金積立の保管方法。特定保管と消費寄託。どっちがよい?

金積立の保管方法

金の積立をはじめるとき、
どちらの会社で積立をするか迷いますが、
選ぶ一つの基準として、
積み立てた金の保管方法がしばしば取り上げられます。

積立ではなく、金塊(12.5kg)や金のバー(1kg、500gなど)を購入したら、
保管方法は、銀行の貸金庫、自宅の金庫、タンスの奥底、
といったところでしょうか。

ところが金積立の場合、
例えば、毎月10,000円を積み立てたら、
ひと月で約1.5gの金です。(金価格6,700円/g)

1回の購入でわずか数グラムです。
そんな小粒の金が毎月自宅に送られてくるはずもありません。
当然、運営会社に毎月購入してもらった金を預かってもらうわけです。

その方法が大きく2つあります。
「特定保管」「消費寄託」
というものです。

今回はこれらの違いと、
どちらを選ぶべきなのか?について私の見解を述べたいと思います。

特定保管(とくていほかん)とは


特定保管と消費寄託で何が違うかというと、
預けた資産(金)の所有権がどちらにあるか?
です。

特定保管は、所有権が預けた本人、つまりお客さん側にあります
ですので、預かっている運営会社(保管している会社)は、その資産を自由に使うことができません。

「そんなのあたりまえじゃん!」って思うかもしれませんが、
実はあたりまえではないんです。
(次の消費寄託の解説を読めばわかります)

保管の仕方も、会社の資産と預かっている資産は分けて管理します。
ですので「分別保管」とも言ったりします。

たとえば、会社が倒産したときは、
資産が分かれて管理されているので、預けている金は守られる。
つまりちゃんと自分のところに帰ってくるので安心!
ということになっています。
(会社が潰れた経験をしたことがないので、このような書き方をしています。)

特定保管で管理している会社は

  • 田中貴金属(金・プラチナ)
  • 石福金属興業(金・プラチナ)
  • 徳力本店(金・プラチナ)
  • 三菱マテリアル(金のみ)
  • SBI証券(金・銀・プラチナ)

など、貴金属会社が多いですね。

消費寄託(しょうひきたく)とは


「消費寄託」は、銀行にお金を預金するのと同じスタイルです。

消費寄託のことを
田中貴金属では「混合寄託(こんごうきたく)」
三菱マテリアルでは「混蔵寄託(こんぞうきたく)」
とも呼んでいるそうです。
(私が積立をはじめたころはこのような呼び方は聞いたことがありませんでした。)

消費寄託は、預けた資産の所有権が、預け先の運営会社になります

ですので、運営会社がその資産を運用したり、自由に扱うことができます。
そして、預けた契約者はその資産の返還請求をする権利を持つ、ということになります。

みなさん銀行に預金をしていると思いますが、
銀行の預金も消費寄託です。
ですので、預けているお金は銀行に所有権があるんです。
これは意外に感じたかもしれません。

でも、銀行の業務を考えてみたら当然のことで、
銀行は預金者から預かったお金を企業などに貸したり、
債券を購入したりし、
そこから得た利益の一部を預金者に利息として渡しています。

つまり、銀行に所有権がなければ銀行としての商売ができないんですね。

それはともかく、
消費寄託のデメリットがここにあります。
資産の所有権は運営会社にあるので、
運営会社が破産などをしてしまった場合に、資産の返還請求をしても返ってこない可能性があります。

しかし逆にメリットもあって、
消費寄託では、運営会社が自由に使ってよい分、
それを契約者に何かしらの形で還元するケースがあります。

たとえば、三菱マテリアルでは、
特定保管と消費寄託のどちらかを選べますが、

ー 特定保管は、管理手数料が有料。

ー 消費寄託は、管理手数料が無料
        +継続ボーナス


を付与しています。
継続ボーナスといっても付与率は現在0.03%ですので、微々たるものですが・・。

消費寄託で預かっている運営会社は、

  • 三菱マテリアル
  • 楽天証券
  • マネックス証券

などです。

ちなみに、
銀行系は貴金属会社などの第三者に保管も委託しているケースが多いので、
その場合は第三者の保管方法に寄ってきます。

特定保管できるのは金 or プラチナ


このブログは金投資がメインですが、
金以外にも投資できる貴金属があります。

代表的なものはプラチナです。

金積立をしている会社の中には
サービスの一つとして銀やプラチナも一緒に積立ができる場合があります。
私も金とプラチナを積立しています。

調べたところ、
貴金属会社では金とプラチナは特定保管できるけど、
銀は消費寄託というケースが多いですね。

SBI証券は例外的で、金・銀・プラチナ、いずれも特定保管となっています。

三菱マテリアルでは、金は特定保管か消費寄託を選べるけど、
銀とプラチナは消費寄託だけ、となっています。

大事なのは「信頼できる会社かどうか」


金積立においては「特定保管の方が安心」と言われています。

が、

「会社の資産と私の資産は分けて保管してある」
とは言っても、私自身の金も、その保管状態も見たことがありません。

運営会社が潰れた経験もありませんので、
本当に返ってくるのか、証明ができないのです。

そもそも、数十グラム、数百グラム程度の金を、
映画で見るような銀行の地下の貸金庫のような感じで、
一人一人の金を完璧に分別して保管しているはずがありません。

しかも、毎日購入しているわけですから。

つまり、常識的に考えて、
金そのもので保管しているわけではなく、
あくまで数字上(帳簿上)での話です

特定保管しているといっても、
うまくごまかしてウソをついてるかもしれない。
そんなの疑いだしたらキリがなくて、
投資なんてできなくなります。

ですので、特定保管にせよ、消費寄託にせよ、
会社を信じるしかないんですよね。


ということで、
どちらか一方を選べと言われたら、
手数料やサービスなどのその他の条件を省いた場合、
私は所有権が自分にある「特定保管」を選びますが、
正直そこまで重要なことではないかなと私は考えています。

大事なのは、運営会社の「実績」と「規模」で選別し、
最終的には、あなたが最も信じられる会社で取引することだと思います。

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2020年6月30日