新型コロナ発生以降、金価格がめざましい上昇となっていますが、
密かに「これから金投資を始めよう」と思っている方も増えてきていると思います。
そんな、金投資初心者の方向けに、
投資対象となる「金(ゴールド)」にはどんなものがあるかご紹介します。
今回は、個々の特徴や具体的や商品には触れず、
どんな金商品があるか全体像を解説しますね。
1. 「金」と「株・債券」の違い
金融投資の代表的なものは、株・投資信託・債券ですが、
これらは会社や国などの発行体の「信用」を私たちは購入しています。
「信用」は実物として形になっているものではありません。
しかし、金は「実物」そのものであり、
かつ、その実物を裏付けとして「信用」を購入することもできる。
これが株や債券と異なる点です。
金商品の正式な区分みたいなものは存在しないので、
私オリジナルの感覚から分類をしてみました。
上の図では、
まず、緑と赤の分類に分けています。
1、金の実物が実際に手元にあるもの
2、金の実物が手元に存在しないもの
(電子データ上、ペーパー上に数字として存在するもの)
と、大きく2つに分けています。
2. 実物として手元にある金
2-1. 金地金(きんじがね)
金投資の最も代表的なものが金地金でしょう。
地金(じがね)とは、
金属を貯蔵・保管しやすいように固めたものをいいます。
わかりやすいのが金塊や金のバー、金のプレートがそうですね。
金地金はメーカーが精錬をして作っています。
これは一度は手に持ってみたいですね。
もう一つは地金型金貨(じがねがたきんか)と言われるものです。
要は「金貨(金のコイン)」です。
金貨は各国の造幣局が作っています。
これらの特徴は、
金を丸々固めたものなので、
売買するときの金額が、その重量分の価値と近いので、損が少ないということです。
どういうことかというと、
金の実物を何かしらの商品に作り変えるとき、加工賃(手間賃)がかかります。
金地金は金をきれいに四角く固めただけのものなので、商品に加工賃はほとんど乗っかりません。
ところが、金細工の商品は、金の原料に加えて、細工を施す加工賃が乗っかります。
ある金細工を100万円で購入したとしましょう。
この金細工の金の原料そのものの価値は30万円、加工賃が70万円だったとします。
それを金の価値として売却した時に、30万円にしかならないということです。
金地金はこの加工賃の割合がとても少ないので、金投資に最も向いている実物だと言えます。
2-2. コレクション
収集を目的としたものです。
代表的なものは金貨です。
「あれっ?」と思われた方もいると思いますが、
先ほど出てきた金地金と同じ金貨です。
が、投資の値上がりを期待する根拠が違います。
先ほどの地金型金貨は、金の原料の値上がりを期待しますが、
収集用の金貨は、金貨そのもののレア度などの価値が上がることを期待します。
ですので、同じ金貨ではあるのですが、何を見て投資をしているかが異なるのです。
いいかえれば、収集用金貨は、金貨の原料がたまたま金だったといってもいいかもしれません。
しかし原料が金なので、金投資のうま味も十分にあると私は考えています。
金の時計も同じです。
投資対象となる時計は、メーカーやモデルがある程度決まっており、収集用金貨と同様にコレクターの人気度やレア度に焦点を当てます。
そしてたまたま、素材に金が使われているということです。
金貨も金の時計も、
金素材のコレクター投資ということになります。
2-3. 宝飾品
一般的に金でもっとも馴染みのあるのが指輪やネックレスなどの宝飾品です。
ファッションとして使われるので、日常でもっとも使われる金商品だと思います。
身に付けるものですから、
例えば海外で何かあった時に、金製品の宝飾品は現金化してもらいやすいものでもあります。
時計コレクターの対象にならない金の時計も、こちらの宝飾品の分類で私は考えています。
2-4. 実用品
金で作られた実用品です。
宝飾品も実用品のうちに入るかと思いますが、
こちらは身に付けるものではありません。
例えば、お鈴などの仏具や、金製の食器類などです。
とくに仏具類は、実際に使用するものというより、
税金対策としても昔から利用されてきました。
食品用の金粉などにも金が使われていますが、
金粉の販売価格が、金現物市場で取引されている単位価格と大きく解離しますし、貴金属商などでも買取をしてくれないと思いますので、
金投資の対象とは見なさないようにしています。
3. 実物として手元にないもの
今度は手元に金がない投資商品です。
3-1. 純金積立
金を毎月定額で購入する商品が純金積立です。
購入するといっても、金の実物が毎月手元に届くわけではありません。
ネットの管理画面で数字として眺めています。
しかし運営会社によっては、一定量の金を購入すると、手数料を支払って実物と交換してもらえるものもあります。
初心者には始めやすい金投資商品です。
3-2. 株
金は株式市場に上場していませんので、株で直接投資はできません。
が、金を採掘している会社に” 間接的に “投資することができます。
「金鉱株」といいます。
- バリック・ゴールド(カナダ)
- ニューモント(アメリカ)
- ニュークレスト・マイニング(オーストラリア)
- アングロゴールド・アシャンティ(南アフリカ)
- アグニコ・イーグル・マインズ(カナダ)
などが金鉱株の代表銘柄あります。
日本にも金の採掘に関わっている会社に「三菱マテリアル」や「住友金属鉱山」などがありますが、
日本は金が多く採れないので、金鉱株投資の対象とはあまり見なされません。
金鉱株は当然金価格と連動しやすいのですが、
一般的に、金価格よりも値動きが大きいという特徴があります。
金を掘る会社に対して投資をしているので、
金価格が上がっても会社が倒産すれば、当然投資したお金は吹き飛びます。
3-3. 投資信託
自分で金融商品を選ぶのではなく、
投資のプロに任せる方法が投資信託(ファンド)です。
投資信託で金に対して投資をする方法は、大きく3つ。
- 金に投資をする投資信託を買う
- 金鉱株に投資をする投資信託を買う
- 金に投資をするETFを買う投資信託を買う
の3つがあります。
3番目はちょっと難しいのですが、
いずれにしても、投資信託を通じて金に投資をするという方法です。
そしてもう一つが、ETFです。
ETFとは、上場投資信託(Exchange Traded Fund)といいます。
投資信託は通常、銀行や証券会社などが窓口となって販売をしているのですが、
ETFは、投資信託が株式市場に上場されていて、株と同じように市場参加者たちと売買ができるものをいいます。
なので、株と投資信託の両側面を持ち合わせています。
金ETFの先駆者で、代表的なものが「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」
投資信託もETFもスタートしやすい金投資の方法の一つです。
3-4. 先物
先物とは、
将来のある期日に、ある価格で受け渡しを行う約束をする取引です。
先物取引について知りたい方は下記をご覧ください。
先物は、受け渡しをする期日が決まっており、
金先物取引の期日は、2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月です。
これらの月までにお金で決済をするか、現物として金を受け取るかを決めなければいけません。
月単位で期日が決まっているので、金限月取引といいます。
先物取引は、現物のように1gから購入することができず、
最少取引量が1kgからで、今だと価格にして600万円くらいになります。
しかし先物取引は、それだけのお金は必要なく、
「証拠金」というお金を入れることによって、
数十分の一の証拠金で取引できます。
最少取引量が1kgではなく、100gからのミニ取引というのもあります。
証拠金もさらに10分の1で済みます。
また、先物は受け渡しの期日が決まっている取引とお伝えしましたが、
受け渡しの期日がない先物取引も存在します。
(言っている意味がよくわからないと思いますがww)
これが、金限日取引です。
ここでは詳しく説明しませんが、
金限日取引では受け渡しの期日が存在しないので、
期日を気にせずにポジションを持ち続けることができます。
最少取引量がミニ取引と同じ100gからです。
ちなみに、1kgからの取引を標準取引といいますが、
標準取引では金の現物を受け取ることができますが、
ミニ取引と金限日取引では、金の現物を受け取ることはできません。
3-5. オプション
オプション取引は先物取引と混合されやすい取引です。
先物取引は、
将来、購入する約束をする取引であるのに対し、
オプション取引は、
将来、購入する権利を取引します。
例えば、現在、金価格が6,000円だとして、1年後に10,000円に上がると期待して、先物取引とオプション取引を考えます。
1年後に10,000円になっていれば、4,000円の利益ですが、
1年後に3,000円に下がってしまったら、3,000円の損が出ます。
ところがオプション取引では、
1年後に6,000円で購入する権利を500円で買います。
1年後に10,000円になっていれば、権利を行使して、6,000円で購入します。
つまり、10,000 ー(6,000円+500円)=3,500円の利益が出ます。
1年後に3,000円に下がってしまったら、先物取引と同様に損を被ると思いきや、
権利を行使しなければいいので、500円の損失で済むというわけです。
これがオプション取引です。
オプション取引も先物取引と同様に、
少ないオプション料(権利料)を支払うことによって、
大きいボリュームの金を取引したのと同じ効果が得られます。
以上、今回は金投資商品の種類を取り上げてみました。
いかがだったでしょうか。
金投資はなかなか馴染みがないようで、
投資信託やETFなど、投資できる商品の幅もかなり広がっており、
実は簡単に手が出せます。
まずはETFでも、純金積立でもいいので、
始めやすいものからスタートしてみてはいかがでしょうか?