新型コロナ以降、金(ゴールド)への投資が注目されることになった最大の理由はこの3つ!

私は投資が好きなので、YouTubeでよく投資に関する動画を見ます。
投資は金だけでなく、株や債券、不動産に関することまで、
比較的はば広く見ていますが、
コロナ禍に入ってから明らかに「金投資」を推す人が増えてきています。

「明らかに」です。

私が投資を始めたころは周りのだれも金投資などしておらず、
人にしゃべったら

「え・・、大丈夫なの? 危なくない?」

と言われたものでした・・。
当時の私には、何が危ないのかがよくわかっていませんでしたが・・

それはともかく、昔と今では金に対する世の中の空気はまるで違うのです。

なぜ空気ががらりと変わったのか?
今回はその原因となる大きな流れを説明します。

私の考えは大きく3つです。

1. 世界中でお金が大量に刷られている!


2020年3月から世界的にコロナ禍に入り、
社会経済が回らない状況になりました。
多くの企業は売上を失い、従業員にお給料も払えなくなり、リストラが進みます。
そうなると生活に困窮する人が溢れだします。
それを食い止めるべく、企業や個人にお金が行き渡るよう、
2020年3月23日、アメリカの中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)が、無制限に量的緩和することを決定しました。

量的緩和とは、簡単にいうと、お金をたくさん刷って国内にお金を増やすことです。
お金がみんなに行き渡れば、物やサービスが購入できるようになって個人が生活できるようになり、経済が活性化します。

実は量的緩和は、リーマンブラザーズという商業銀行の破綻がきっかけとなった「リーマンショック」の2008年から始めていました。

その後、アメリカでは経済が上向き始め、2020年の始めまでは経済が好調だったのですが、
今回の新型コロナによる経済の低迷によって、さらなる量的緩和に踏み切りました。

下はFRBのマネーサプライ(資金供給量)のグラフです。

アメリカの資金供給量の変化

リーマンショック以降、新型コロナ以前から資金供給量はほぼ毎年増えていましたが、2020年3月から急激にお金が増えているのがわかりますね。



この量的緩和は、アメリカだけでなく、
ヨーロッパの中央銀行とされるECB(欧州中央銀行)も3月に量的緩和の拡大を決定。
また、日本の日本銀行(BOJ)も同じく、3月に追加の量的緩和を発表しています。
みんなが歩調を合わせた感じですね。

いずれにしても、世界経済の有力な国々でお金を大量に刷ることになったわけです。

お金が大量に刷られると、お金は価値が下がり、
相対的に物の価値が上がり、「インフレ」を招きます。

このお金は社会のいろんなところに回るわけですが、
金融資産や実物資産の投資商品にも大量に回ることになります。

実際、リーマンショック以降、量的緩和を進めたアメリカの株価(S&P500)を見てみると、

2009年から2020年にかけてキレイに上昇していきました。

つまり、

世の中のお金が増える → 投資商品にお金が流れてくる → 投資商品が買われる → 投資商品の価格が上がる

ということになります。

この、金融資産や実物資産がインフレを起こすことを「資産インフレ」といったりしますが、これだけ大量のお金が刷られると、資産インフレを起こすのは間違いないと思います。

2. 金利が0! 債券の魅力がガタ落ち..


コロナ禍になり、各国の中央銀行が動き出したことのもう一つが、
「金利を下げる」ことです。

私たち個人が住宅ローンとかでお金を借りたり、
企業が運転資金を借りたりしたとき、
毎月の支払いで利子を支払わなければいけませんが、
利子の金利の大元を決めているのが中央銀行です。

金利が低い(利子が少ない)とお金を借りやすくなるので、
経済が回っていないとき、景気が悪いときに金利を下げるように中央銀行が仕向けます。

今回アメリカは、量的緩和と同時に、金利をほぼ0にするということを決めました。
ヨーロッパと日本も同様です。

これが何を意味するかというと、

お金を借りるために国が発行する「国債」や、
企業が発行する「社債」といわれる債券も、金利が下がるということです。
お金を借りやすくするために金利が下がっているわけですから。

金融資産でもっとも大きいマーケットを持っているのが「債券市場」です。
ところが、債券を購入しても利息がちょっとしかもらえない状態になるので、債券の魅力が全体的に低下します。

そこで登場するのが「金(ゴールド)」です。

前回の記事で、金の最大のデメリットは、

金(ゴールド)は持っていてもお金は生まない

ことだと伝えました。

金投資のデメリットとは

金投資の最大のデメリット?それは〇〇がないこと

2020年7月5日

つまり、金の金利は0です。これはずっと変わりません。

例えば、
とある国債の金利が、これまで2%で発行されていたとしましょう。
ところが、これから新しく発行される国債の金利が0.5%になってしまったら?

まだ金利は0.5%付いてはいるものの、
これまでよりも魅力はガクッと落ちていますよね。

けれど、金は当時も金利が0。
そして今も金利は0なんです。

ということは、債券と金の金利で比べた場合、
相対的に債券の魅力が落ち、
相対的に金の魅力が上がる
ということです。

ここは投資においてはミソとなる部分で、
投資の資金は、相対的に魅力の高い商品にお金が流れていきます

すなわち、金利が激減した今日、
債券市場が暗くなり、
もともと金利がなかった金(ゴールド)が、
債券に比べて輝いて見えはじめたということです。

3. 株の配当金が減少!


私は株も好きで買っていますが、
今回の新型コロナで株式市場全体が影響を受けました。
ところが、株価が大きく下がった企業と、そこまで下がらなかった企業に分かれていたのですが、
大きく下がらなかった企業に共通していたことの一つが、

現金を潤沢に持っていたこと

です。
借金が少なく、現金をたくさん持っているということは、
経営基盤が安定しているということですし、
現金を持ってさえすれば、なんとか生き残ることができます。

企業は決算のたびに、1年間稼いで残った利益をどのように使うかを判断します。

  • 配当に回すのか?
  • 自社の株を買うのか?
  • 会社に余剰資金として残すのか?

これまでは、配当や自社株買いをして、株主への還元を積極的に進めるというのが世界的な流れでした。

ところが今回の新型コロナで多くの経営者は、
会社の余剰資金としての現金がないことの怖さを思い知りました。

そしてこれから第二波、第三波がくることも警戒し、
配当金で支払うよりも、まずは現金を会社に残そうとします。

実際、80年間配当金を減らすことをしなかった、
イギリスの大手石油会社「ロイヤル・ダッチ・シェル」が、
なんと80年ぶりに減配(配当を減らすこと)に踏み切りました。

私が持っている株も、配当金が減ったものがいくつかあります。
また、株主優待を廃止した企業もありました。
(会社によっては株主優待が大きな負担となっています)

今後、配当金を減らし、会社の存続のために利益を剰余金として残そうとする企業が増えていく

だろうと、私は考えています。

これはすなわち、先ほどの債券の話と同じです。

これまでの株の配当金の魅力が低下することにより、
もともと配当のなかった金(ゴールド)の魅力が、相対的に株よりも高まるということです。

4. 大事なのは大きな潮流。短期の下落はチャンス!


新型コロナ発生以降、金への注目度が一気に増した理由の3つ、
いかがでしたでしょうか。

世界の金融市場は、債券と株式が圧倒的なマーケットを持っています。
しかし、その債券と株式の魅力が今回の新型コロナによって低下しています。

世界の債券・株式・金のマーケットをざっくり見てみると、

債券:103兆ドル
株式: 86兆ドル
金 : 10兆ドル(現物)

と、金は債券や株式に比べて市場規模が小さいのがわかります。
ということは、債券や株式の資金がちょっとでも金市場に流れると、
金の価格は大きく上がるのは明白です。

他にも金価格を左右する要因はありますし、
短期的には金価格は上がったり下がったりします。
特に最近の金価格の値動きを見ていると、
ひと昔以上に激しくなっています。

今日のお話は長期的にみた大きな潮流の変化ですので、
短期的な下落などに気持ちを揺さぶれないようにしてくださいね。

むしろ、大きな下落があったときは、金をたくさん買えるチャンスだと私は思います。