「純金積立コツコツ!」といったら田中貴金属。
CMで聞いたこともある方は多いでしょう。
金の投資といえば純金積立。
そう、私も金投資をスタートしたのが田中貴金属の純金積立でした。
純金積立初心者には王道の金投資の入り口です。
1. 純金積立とは?
平たくいうと、金の定期定額購入です。
銀行の「定期積立」と同じです。
例えば、毎月1万円分の金を自動的に買うというような感じです。
ここでのポイントは、
毎月一定量の金を買うわけではなく、
毎月一定の金額で、その時に買うことができる金の量を買う、ということです。
金価格は毎日変動しますから、
毎月、貯まっていく金の量は変動することになります。
実は、ここが金投資の王道たる理由でもあるんです。
2. 純金積立の取り扱い業者さん
純金積立は田中貴金属や三菱マテリアルなどの貴金属会社が有名です。
私が純金積立をスタートした当時は、貴金属会社だけしかやっていませんでしたが、今は大手の証券会社でも取り扱いをしています。
ここでは、いくつかのメジャーな会社を紹介します。
2-1. 貴金属会社
■ 田中貴金属
■ 三菱マテリアル
■ 徳力本店
■ 石福金属興業
当時は住友金属鉱山もやっていた記憶があったのですが、
調べたところ、2014年に田中貴金属に事業を承継したようです。(記事)
やっぱり田中貴金属は最大手ですね。
2-2. 証券会社
業者さんごとの比較は別の記事に書きたいと思います。
今回はここでは紹介だけにとどめます。
では純金積立のメリット・デメリットをお伝えします。
3. 純金積立のメリット
まずはメリットを私の経験から3つお伝えします。
3-1. ドルコスト平均法を効かせられる
これは積立投資における代表的なメリットです。
ドルコスト平均法とは、
ある時期に、一気にまとめて商品を購入するのではなく、 毎月一定の金額で購入することによって、平均の買付単価を抑える方法
です。
具体例で説明しましょう。
上の例では、
ある年の1月から12月までの12ヶ月間、毎月金を購入します。
金の価格は毎月変動します。
1月は10,000円、2月は12,000円、3月は8,000円・・・
という感じです。
そのときに、
毎月10,000円でドルコスト平均法(毎月定額)で金を買うパターン(上の表)、
毎月定量の金を買うパターン(下の表)
の2つで比べてみます。
一見すると、「どっちも同じじゃないの?」
と思いませんか?
ところが、12月の購入時に比較をしてみると、
投資している金額は120,000円と同じなのに、
購入した金の重量が、毎月定額購入の方が多くなっていることがわかります。
12月の時点で保有している金の評価額をみても、
毎月定額購入は、124,167円
毎月定量購入は、120,000円
と、ドルコスト平均法によって、4,167円も高くなっていますね。
これがドルコスト平均法の「マジック」ともいうべきでしょうか。
なぜこのような「マジック」がかかるのか?
ざっくりいいますと、
金価格が安い月に多くの量の金を購入できるからなんです。
ドルコスト平均法についてのもっと詳しいお話については、
別の記事で書きたいと思います。
3-2. 自分で保管する必要がない
金は、金貨や金のバーで購入することもできます。
しかし、金貨や金のバーは10万円以上と高額なものがほとんどで、
それらを自宅で保管する最大のデメリットが盗難リスクや紛失リスクです。
特に近年はオレオレ詐欺などの特殊詐欺が増え、
中には、自宅で保管している資産の状況を電話で収集し、その後、強引に自宅に押し入って金品を強盗するような、新手の攻撃的な特殊詐欺も出てきています。
実際、私は金貨を持っていますが、
どこに隠しておけば安全か?
押入れの一番奥底に隠そうか?
でもたまには金貨を手にとって眺めたい。。。
と、いつも保管場所には苦慮しています。
こういう悩みから解放され、詐欺や強盗の被害から金を守れるのも、純金積立のメリットだと感じています。
3-3. 価格の上昇・下落を気にしなくて済む
私の金投資の経験上、最大のメリットは間違いなくこれです。
どんな投資でも始めると起こる現象が、
「価格が気になる」
です。
買った価格よりも今日の価格が上がっていると「うんうん!」とニンマリし、
価格が下がっていると「う・・・」と、胃をキュッと締め付けられたような感じになる。
これを日々繰り返すようになります。
仕事をしている時も価格が気になる。。。
投資経験者ならみなさん経験していますね。
ところが、純金積立のメリットである「ドルコスト平均法」は、
価格が安くなると、たくさんの量を買うことができるというもの。
つまり、価格が下がっても嬉しいし、価格が上がっても気分がいいという、
メンタル的にはどちらに転がってもハッピーなのです。
しかも、自動的に毎月の資金が銀行から引き落としされているので、
純金積立に日々意識する必要がなく、
いい意味で忘れることができるのです。
そのため、プライベートや仕事にもほとんどメンタル面の影響がなくなります。
投資の本質的な目的は
「人生をよりよく豊かにすること」
投資によってメンタルがやられてしまっては本末転倒ですからね。
4. 純金積立のデメリット
次はデメリットです。
4-1. 毎月の購入手数料が高い
私が一番のデメリットだと感じているのはこれです。
まず、純金積立では2つの手数料があると思ってください。
1つが、毎月の購入時にかかる手数料です。
例えば、田中貴金属で毎月10,000円を積み立てたとしましょう。
そうすると、上記の手数料表より、
毎月の手数料は2.5%、
つまり、10,000円の積立だと、毎月250円がかかるということです。
この手数料が高いのか?安いのか?の判断がつかない人もいるかもしれません。
株式投資を経験している人ならわかると思いますが、
株式と比べたらけっこう高いです。
4-2. スプレッドが高い
そしてもう1つが、「スプレッド」といわれるものです。
下の表を見てみてください。
まず、金の税込小売価格(左)と税込買取価格(右)という、2つの価格が表記されています。
税込小売価格が、私たちが田中貴金属から金を買うときの価格です。
価格は金1グラムあたりの価格です。
つまり、1グラムの金を買うためには6,715円を支払うということです。
次に、税込買取価格です。
これは、金を田中貴金属に買い取ってもらうときの価格、
つまり金を売却するときの価格です。
つまり、1グラムの金を田中貴金属に持っていったら、6,622円で買い取ってくれるということです。
この時点でわかることは、
金を買ったあと、すぐに売ったら、損になるということです。
このケースだと、
6,715円 ー 6,622円 = 87円
の損になるということですね。
まあそんなことをする人はいませんが、
この87円の価格差が「スプレッド」と呼ばれるものです。
では、なぜこの87円のスプレッドができてしまっているのでしょうか?
下の引用を読んでみましょう。
Q. 売買の価格差(スプレッド)はなぜあるのですか?
日本金地金流通協会
A. 金地金やプラチナ地金を販売する場合は、仕入価格にいくらかの手数料(保険料、保管料、流通にかかる費用など)を上乗せして価格を設定します。また、買い取る場合は、その地金を溶解し品質的に問題ないことを確認した後で、再び販売できることを考慮した価格を設定しています。そのための価格差が「小売価格」と「買取価格」の差となっています。
要するに、スプレッドも手数料ということです。
よく、純金積立のメリット・デメリットを他のサイトで見ていると、
「保管手数料がかからない」
というのが出てきますが、
現物を保管してもらっているのであれば、保管コストがかからないはずがありません。
つまり、どこかにそのコストが上乗せされているわけですね。
4-3. 現金の出金時に手数料がかかる
手数料の話ばかりでごめんなさい・・・。
だけど、手数料はやはり痛みをともなうものなのです。
何度か現金が必要になったときに、積み立てた金を売って現金にしたことがありますが、
現金を銀行口座に出金するときに振込手数料がかかります。
証券口座だと手数料がかからずに入出金できるのがあたりまえの時代になったので、
やはりこれはデメリットの1つと感じています。
この出金時の振込手数料は業者さんによってあったりなかったりするかもしれませんので、純金積立を始める前に調べておくことをオススメします。
5. メリットと感じないメリット
5-1. 金貨や金のジュエリーと交換できる
ネットで調べると、このメリットが書かれていることが多いのですが、
純金積立を15年近くしてきた経験からすると、
現物に交換しようと思ったことは一度もないです(笑)
投資が目的でやっているので、モノに交換する必要がないですし、
金貨や金のジュエリーは、金の重量の価格にプラスして加工するための手間賃が乗っかっているので、交換した時点で損になっちゃうので。
ただ、今考えると、これは純金積立を始めるときの動機にはなっていました。
なにか安心できるものを感じたのだと思います。
6. 純金積立は商品としてのうまみが落ちてきている
以上、私の経験から、純金積立のメリット・デメリットをお話ししました。
私は今でも純金積立をやっていますが、
実は投資額としては以前に比べてかなり落としているんです。
というのも、当時は金投資ができる商品の幅がかぎられていて、
初心者には正直、純金積立くらいしかありませんでした。
ところが、今は株式みたいに購入でき、かつ、手数料が安いものも増えてきたので、私はそちらにシフトしています。
ただ、純金積立はやはり初心者にはとっかかりやすい商品であるのはまちがいありませんので、金投資のスタートとしてはオススメできます。